「歯医者としてやりがいをとるか、収入をとるか」

澤田 宏二

これから書く、現在歯科界が抱えている問題は、
経営者向けの話のように思えますが、
実はこの問題は就職活動しているドクターや、
若い勤務医の先生が早い時期に知っていないと、
軌道修正できなくなる大切な話しです。
「将来考えよう」なんて思わずに、
今の自分に関わる大切な問題と思って、
読んでください。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
大学のようにゆっくり治療をしたいけど、
開業医のスタイルにせざるを得ない。

保険治療? 保険外治療?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ほとんどの人は、この「ものさし」で、
歯科治療への関わり方を考えています。

何を隠そう自分もそう考えていました。

でも、実はまったく違うんです。

偉そうにアドバイスしますが、
自分もこのことに今年気がつきました。


衝撃の事実です。


ちょっと解説しますね。

これから話すことを紙に書きながら読んでもらうと、
分かりやすいと思います。(ぜひやってみてください)

まず、紙の上の方、真ん中あたりに「歯科治療」と書いてください。

その左下に「収入」、右下に「やりがい」と書いてください。


大学病院でやっているように、
時間をかけて、丁寧に、
そして、患者さんの話を十分に聞きながら、
ベストな治療をしていきたい...


そんな風にあなたは思いませんか。

それが右側の「やりがい」の治療ですよね。
つまり、「やりがい」をとれば、
本当に自分が行いたい理想の治療ができる..と言うことです。


しかし、「やりがい」ばかり追及して、
ゆっくりのんびり治療をしていたら、
収入を満足に稼げません。
そんな社会は甘くないですもんね。

歯医者と言えど、人間ですから、
まずは生活ができなくては話しにならないわけで、
理想論ばかり言っているわけにはいきませんので、
左側の「収入」を選ばざるを得ない..
と多くの人は思うわけです。

そう思って、多くの歯医者さんが、
左側の「収入」面を優先して、
人生を生きています。

では、左側の「収入」を選んだのなら、
次に考えなくてはいけないことは何か?

お金を稼ぐ形態です。
大きく分けて、「保険治療」「保険外治療」の2つとなるでしょう。

「お金」の下に、
「保険治療 / 保険外治療」と書いてみましょう。



保険治療をやるなら、
1日にたくさんの患者さんを診なくちゃいけないでしょうね。
日本の9割方の歯医者さんがやっている診療スタイル
と言えるのではないでしょうか。


朝から晩まで休む間もなく、
身を粉にして患者さんの治療をします。

しかし、

1人の患者さんにとれる時間はかなり少ないので、
どうしても満足な処置をすることはできず、
トラブルが発生したり、
急患で患者さんが度々来院することになります。

そうなると更に治療時間は足りなくなり、
1人の患者さんに割ける時間は少なくなっていく傾向にあります。

同時に患者さんからのクレーム、不満は募る一方となります。
(「保険治療」の下に、「増患増収」、「薄利多売」と書きましょう。
その下に、「急患」、「クレーム」、「ストレス」と書いておきましょうか。)



保険外治療を選択しようと思うなら、
自分が自信を持てるだけの
技術、知識を身につけなければいけません。

そして、患者さんに保険外治療を勧める
コミュニケーションスキルも勉強する必要があります。

保険治療を望んできた患者さんに
保険外治療を勧めるというのは、
結構難しいものです。

それはそうですよね。

安く仕上げて欲しいと思っている人に、
高い治療を勧めるわけですから...。

違う価値観を押しつけることになります。

勧めること自体が結構ストレスです。
ドクターとしては
心は安まらない...という感じですね。

では、発想を変えて、
最初から保険外治療を望んでいる患者さんを集める..
と言う方法もあります。

説得して、保険外治療に誘導する必要がありませんので、
ストレスは少ないですね。

しかし、多くの歯医者さんはこう考えます。

「保険外治療を望んでいる患者さんばかり来てくれるわけないよ。」
「そんな簡単にいくなら、みんなやってるよ。」

そうなんです。
保険外治療を望む患者さんを集患すること(マーケティング)は、
そう簡単なことではないんです。

だって、そんな方法(マーケティング)を、
我々歯医者さんは歯学部で学んでいませんし、
どう考えたらよいかも知らないんです。
(「保険外治療」の下に、「自費説得」、
「マーケティング」、と書いておきましょう。)



・・・

でも、実はそんな難しいことではないんですよ。
ちゃんと方法はあるんです。

でも、ほとんどの歯医者さんはそれを学んで、実践しようとはせず、
今までの歯医者さんがやってきた保険治療を頑張ろう...、
という選択をするわけです。

なぜかと言えば、
教えてくれる人がいないことと、
実践している人が少ないので、
やる勇気が出てこないんです。

みんながやり始めたら、
何の抵抗もなくみんなやると思います。

さて、話しを戻して、
左側の「収入」を選択して突き進んでいくとどうなるかというと、
時間の問題で、必ず燃え尽きます。

「やりがい」はありませんし、
収入を選んだけれども、
十分な収入を得るのはそう簡単ではないわけです。

やる気がなくなり、
心が折れてしまうのは、容易に想像がつきます。

じゃぁ、どうしたらいいんだ...
やっぱり歯科界はお先真っ暗なんだな...

と思ってしまいますよね。

でも、それは違います。

ポイントは最も根本的なところにありました。

「やりがい」と「収入」を分けたところに間違いがあったんです。

「やりがい」を突き詰めていくと、
その先に、「お金」があったんです。

こんな感じです。


「でもこれって、経営者(院長)の問題だよね」
って、感じている方も多いと思います。
確かに経営形態を決めるのは経営者です。
しかし、勤務医はその経営者の方針に従って、
仕事をするわけですよね。
だから、勤務医は自分が働く医院が、
どのようなスタイルで経営されているのか、
自分で評価できなくてはいけないのです。
さらには、勤務した医院のやり方を、
肌で感じて、身体にすり込まれていくことになります。
「自分が開業するときには、もっと賢くやるよ」
なんて思っていても、
勤務していた医院のやり方に
似たスタイルをとるのがほとんどです。
どこに勤務するか..、
どんな院長の生き方を学ぶか..、
とっても大事なことだと思いますよ。


是非とも右側の「やりがい」ラインを学んでください。

とてもシンプル、難しいやり方ではありません。
この「やりがい」ラインの話を、
1月17日(土)に新潟でセミナーします。

ぜひ、聞きに来てください。

大学勤務時代、大学で行っていた勉強会には
いつも50人を越える先生が参加してくれていましたが、
今回は大学を離れて、会場を借りましたので、
定員45名です。

定員になり次第、〆切とさせていただきますので、
お早めにお申し込みください。

何と言っても参加費無料ですので、
今回のチャンスをお見逃しなく!!



2009年1月17日 in 新潟】

 「歯医者の生き方を考える」
〜やりがいとお金の両方を手にするための発想の転換〜
  澤田 宏二 (東京都武蔵野市開業)

【会場】 生涯学習センター(クロスパル新潟)
            〒951-8055  新潟市中央区礎町通3ノ町2086
            TEL  (025) 224-2088
            [URL] http://www.city.niigata.jp/info/crosspal/akusesu.html

【時間】 15時〜17時 

お申込はこちらから



※「新潟まで行けないよ!」という方のために、
1月25日のハッピーデンティストセミナーもあります。
http://www.happy-dentist.org/form.html
こちらは有料ですが、5000円と格安です。
お友達と一緒に申し込めば、割引があります。
講師は澤田宏二だけではなく、
園延先生、伊藤先生とのジョイントセミナーで、
大変内容の濃いセミナーです。




直線上に配置